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献本(けんぽん)とは?自費出版で本を贈る際のマナーと送付状の書き方

「本ができあがりました!」
その喜びを、お世話になったあの人にも伝えたい。
自費出版で本が完成したら、関係者やお世話になった方々に本を贈るのが通例です。
これを「献本(けんぽん)」と言います。
単なるプレゼントではなく、感謝の気持ちを伝え、今後の関係を良好にするための大切なコミュニケーションツールです。
しかし、送り方を間違えると、相手に失礼になったり、負担をかけてしまったりすることも。
ここでは、献本の基本的なマナーや、送付状の書き方、そして効果的な献本先の選び方について解説します。

目次

献本(けんぽん)の意味とマナー

献本は、相手への敬意を表す行為です。

お世話になった人や関係者に本を贈ること

取材に協力してくれた人、資料を提供してくれた人、制作に関わったスタッフ、そして日頃お世話になっている恩師や友人などに、完成した本を贈呈します。

「謹呈」のし(短冊)の書き方と挟み方

献本する際は、本に「謹呈(きんてい)」と書かれた短冊状ののし紙(しおり)を挟むのが正式なマナーです。

  • 書き方:中央上に「謹呈」、その下に自分の氏名(著者名)を書きます。
  • 挟み方:本を開いてすぐの扉(とびら)ページや、見返し部分に挟みます。文字が読める向きにします。

送付状(挨拶状)の文例とポイント

本だけを送りつけるのは唐突です。必ず送付状(挨拶状)を添えましょう。

【文例】

拝啓 〇〇の候、ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、このたび自身の経験をまとめた拙著『〇〇〇〇』を出版いたしました。
ご多忙の折とは存じますが、ご笑覧いただければ幸いです。
今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。 敬具

ポイント:手書きの一筆を添えると、より気持ちが伝わります。

相手に負担をかけない配慮(返礼不要の明記など)

「お祝いを返さなきゃ」と相手に気を遣わせないよう、送付状の最後に「なお、お返しなどのお心遣いは無用に願います」と書き添えておくと親切です。

効果的な献本先の選び方

誰に送るかで、本の運命が変わることもあります。

恩師、友人、取材協力者

まずは、直接お世話になった方々へ。
これは義理を果たすという意味でも必須です。

ターゲット読者層に影響力のあるインフルエンサー

あなたの本の内容に興味を持ちそうなブロガーやYouTuber、SNSのインフルエンサーに献本します。
「もしよろしければ読んでみてください」というスタンスで送り、気に入ってもらえれば紹介してもらえるかもしれません。

地元の図書館や学校

地元の図書館や母校の図書室に寄贈します。
地域資料として受け入れてもらえる可能性が高いです。

メディア関係者(書評依頼を兼ねて)

新聞や雑誌の書評担当者に、プレスリリースと一緒に送ります。
記事に取り上げてもらうための種まきです。

献本から広がるチャンス

献本は、ただ配るだけではありません。

SNSでの感想シェアやブログでの紹介

受け取った人が「こんな本をもらったよ」とSNSで紹介してくれることで、認知が広がります。
特に影響力のある人の投稿は、大きな宣伝効果を生みます。自費出版からベストセラーは生まれる?ヒット作の条件と著者の心構え もあわせてご覧ください。

新たな仕事や講演依頼のきっかけ

本を読んだ人から、「今度、うちで講演してくれませんか?」「雑誌に寄稿してくれませんか?」と仕事の依頼が来ることがあります。
本は最強の名刺代わりになります。

予期せぬ読者とのつながり

献本した相手が、さらに別の知人に本を紹介してくれることもあります。
人から人へ、本が旅をしていきます。

「返報性の原理」を期待しすぎない

ただし、「送ったんだから紹介してくれて当たり前」と思うのはNGです。
あくまで「贈らせていただく」という謙虚な姿勢を忘れずに。
見返りを求めないGIVEの精神が大切です。

献本にかかる費用と手間

意外とコストがかかるので、事前に計画を立てましょう。

本代+送料のコスト計算

本の製造原価(または購入費)に加え、送料がかかります。
100冊送れば、送料だけで数万円になることも。
レターパックやクリックポストなど、安価な発送方法を選びましょう。

梱包作業と発送の手配

本が傷つかないよう、プチプチ(緩衝材)で包んだり、ビニール袋に入れたりして梱包します。
数が多いと大変な作業になります。

住所録の整理と管理

送り先の住所、氏名、肩書きなどをリスト化し、間違いのないように管理します。
個人情報の取り扱いには十分注意しましょう。

献本リストの作成

「誰に送ったか」「お礼の連絡は来たか」などを記録するリストを作っておくと、後々の人付き合いに役立ちます。

まとめ

献本は、あなたの感謝の気持ちを形にしたギフトです。
一冊の本が、新しいご縁をつなぎ、懐かしいご縁を温め直してくれます。
心を込めて送り出した本は、きっと相手の心にも届くはずです。
丁寧なマナーで、あなたの分身である本を送り出してあげてください。

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この記事を書いた人

初めて出版する個人著者さんに、Wordや一太郎を使ったかんたん・低コストな本づくりの手順をお伝えしています。
とくに、在庫リスクやムダな廃棄をなくし、環境にも経営にも優しいPOD出版という新しい形を広めることが今のテーマです。
返本率が過去最高と言われる出版業界の中で、「無理なく続けられる出版スタイル」を一緒に考えていきましょう。

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