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自費出版の費用相場とシミュレーション!100部・500部の見積もり目安

「自分の本を出してみたいけれど、一体いくらかかるんだろう?」と、費用のことで足踏みをしてしまう方はとても多いです。
自費出版の世界は、数万円でできるものから数百万円かかるものまで、選択肢によって金額が大きく変わります。
まずは費用の全体像をつかんで、あなたの予算と目的に合ったプランを見つけていきましょう。

目次

自費出版の費用差を生む4つの組み合わせ

自費出版の費用は、本当にピンからキリまであります。
その差を生んでいるのが、主に次の4つの要素の組み合わせです。

  1. 書籍装丁:上製本か並製本か(ハードカバーかソフトカバーか)
  2. 印刷方法:オフセット印刷かPODか
  3. 編集を入れるか:編集者付きの出版社かIT系セルフパブリッシングか
  4. 販売経路:全国書店に配本したいのか、オンライン中心でよいのか、流通させないのか

ここでは、実際のサービスの料金ページを元に、ざっくりとした価格帯ごとの事例を紹介します。

50万円未満でできるケース(POD × IT系セルフパブ × オンライン中心)

このゾーンは、次のような組み合わせがメインになります。

  • 並製本
  • POD(オンデマンド印刷)
  • IT系セルフパブリッシング
  • Amazonなどオンライン書店中心(もしくは流通無し)

具体例1:MyISBN(POD+セルフパブ)

MyISBNは、初期費用としてシステム利用料(税込5,478円)のみで、在庫リスク無しで紙の本を出版できるサービスです。出版された本は、Amazonや楽天ブックス、全国書店から取寄注文ができます。
MyISBN 料金ページ

  • 著者が最初に支払うのは、このシステム利用料のみ
  • 印刷代は「注文が入ったとき」に書籍読者の支払いから差し引かれる(つまり著者の負担はゼロ)
  • 著者が自分用に買う場合も、1冊ごとに印刷原価+送料を支払う

つまり「初期費用をほぼゼロに近い金額に抑えつつ、PODで必要分だけ刷る」というモデルです。

具体例2:∞books(ムゲンブックス)

∞books(ムゲンブックス)は、1タイトル目の出版費用が完全無料で、ISBN付きの紙の本をAmazonなどで販売できるサービスです。
∞books(ムゲンブックス) よくある質問

  • 1冊目の出版費用は無料
  • 10冊以上売れていない場合、2冊目の出版や修正などに数千円の費用が発生
  • 注文ごとに1冊ずつPODで印刷されるため、在庫リスクはゼロ

こちらは「初期費用0円スタート」が可能で、印刷費用は注文者の支払いから差し引かれる(つまり著者の負担はゼロ)ので、完全に0円で出版して売れた分だけ印税を受け取る仕組みです。
ムゲンブックス経由で出版された本

オンデマンド印刷(POD)で少部数を刷る場合の費用感

オンデマンド印刷は、オフセット印刷のように「最初に数百部まとめて刷って単価を下げる」方式ではなく、1冊から必要な分だけ刷れるのが特徴です。国内のオンデマンド印刷サービスでは、モノクロ200ページ前後の書籍で、1冊あたりおおよそ500〜700円程度という価格帯が一つの目安とされています。

一方で、写真中心のフルカラー冊子など、より凝った仕様になると単価は上がります。たとえばフォトブックサービスの「MyBook(マイブック)」のように、1冊から注文できるオンデマンドサービスでは、A5クラスのソフトカバー・フォトブックが1冊あたりおよそ1,500円(税込)前後からという価格帯で紹介されています。フォトブック向けの事例ではありますが、「高品質なオンデマンド書籍を1冊単位で作るとこの程度の単価になる」というイメージをつかむには分かりやすい例です。

この「1冊1,500円程度」という単価で考えると、100冊まとめて刷れば印刷・製本費だけで約15万円になります。ただしオンデマンド印刷の強みは、必ずしも100冊を一度に作らなくてよいことです。たとえば、まずは10冊だけ自宅や会社に届けてもらい、手元の在庫が減ってきたらまた10冊だけ追加で発注する、といった運用が可能です。必要なタイミングで必要な分だけ増刷していけるため、在庫を抱えるリスクや保管スペースを抑えながら紙の本を持つことができます。

「一度に沢山作ると安い」という前提で、100冊だと幾らかかるのかを考えてしまいますが、オンデマンド印刷の場合は1冊から印刷できるため、必要な時に必要なだけ印刷しましょう。

場合によっては文字の間違いなどが見つかるかもしれません。100冊印刷すると取り返しがつかないので、必要な時に小部数印刷していくのがオススメです。


100万円〜300万円くらいのケース
(並製本 × 編集付き出版社 × 書店流通あり)

編集者と一緒に本を作り、ある程度書店にも並べたい、という場合はこのゾーンに入ってきます。

具体例3:青山ライフ出版(並製・オンデマンド)

青山ライフ出版は、四六判・A5判・並製・オンデマンド印刷の価格表を公開しています。例えば、四六判の並製本でオリジナル表紙デザイン・簡易編集・本文モノクロといった条件で、100冊あたり32万円〜56万円程度の価格帯が提示されています。
青山ライフ出版 価格表

自費出版の費用解説記事では、

  • 青山ライフ出版は標準的な書籍100部で50万円前後

という目安も紹介されています。
自費出版の費用の目安(ブランディングテクノロジーの解説記事)

ただし、これは印刷の費用だけです。

出版オプションと流通オプションは下記の通りです。

原稿作成400字×50枚 350,000円から(交通費別)
リライト400字原稿用紙1枚2,500円から
イラスト作成モノクロイラスト1点4,000円から
カラーイラスト1点10,000円から
パソコン入力入力1文字1円~1.5円
出版オプション一覧
書店窓口 注文のみ99,000円
書店流通委託 配本手数料基本料金99,000円+本の定価の10%×委託配本冊数
※書店流通には審査があります。
amazon.co.jpで委託販売33,000円
流通オプション一覧

書店に並べる場合は書店流通委託が必要になりますから、定価2,000円の本を100冊委託した場合、下記の予算が必要です。
561,000(印刷費)+99,000円(書店流通委託費)+200(定価の10%)×100(冊数)=680,000円

具体例4:書籍づくり本舗(制作+印刷+流通パック)

書籍づくり本舗は「制作・印刷製本・流通管理」をワンパッケージにした自費出版サービスです。
100部なら20万円台〜50万円台の依頼が多いと案内されています。
書籍づくり本舗 価格表

価格表の一例として、

  • A5判・小説タイプ・モノクロ本文(16ページ)・100部で418,000円

といったパッケージ例が掲載されています。

デザイン、印刷製本、書店流通やネット書店配ををまとめて任られ、220ページの本を100部でも363,000円となっております。
ただし、このサービスでは校正や校閲サービスは入っておらず、著者の原稿をそのまま組版して印刷するサービスです。

具体例5:文芸社などの総合出版社

文芸社については、公式サイトの「出版に関するよくあるご質問」で 「端的にいうと、すべてのプランがオーダーメイドになります」 と明記されており、費用の概算や価格表は公開されていません。
誰向けの本なのか、どのような目的で出版するのかなど、著者ごとに条件が大きく異なるため、 一律の料金表は出さず、個別見積もりを前提とした運用になっています。

個別見積もりではありますが、編集から印刷、一部書店流通させると一般的には150万円〜という場合が多いです。


300万円〜一千万円クラスのケース
(上製本 × 大手自費出版部門 × 全国配本+広告)

ここから先は、

  • 上製本(ハードカバー)
  • 大部数(1000部以上)
  • 大手出版社の自費出版部門
  • 書店流通+広告宣伝(新聞・雑誌・ウェブなど)

といった条件が重なってくるゾーンです。

具体例6:大手出版社の自費出版部門の例(新潮社など)

新潮社の自費出版プランでは、文字主体の本を300冊印刷すると200万円を超えてきます。
この場合の条件は下記の通りです。

  • 文字主体の本
  • 200ページ
  • ソフトカバー
  • 300冊

200万を超える金額にはなりますが、ここでも校閲は2回のみです。
「じっくり何度でも見てほしい」というのは非常に贅沢な要望であるので、沢山お金を出して

新潮社 – 料金のめやす

具体例7:幻冬舎ルネッサンス新社

幻冬舎ルネッサンス新社の公式ブログでは、大手出版社の自費出版部門に依頼する場合の相場として、

  • 文庫判1000冊で約300万円程度

という目安が挙げられています。
幻冬舎ルネッサンス 自費出版の費用相場

費用比較記事でも「高価格帯のサービス」として分類されることが多く、パッケージ内容によってはさらに高額になるケースもあります。

具体例8:上製本+広告込みの高額プラン

自費出版の費用を細かく分解した記事では、

  • 書店流通あり
  • ライターによる原稿執筆
  • 書店営業+POP展開

といった条件を含むプランで、200部〜2000部で400万円〜くらいになってきます。

ここに、

  • 上製本仕様による増額
  • 部数を1000部以上に増やす印刷費
  • 新聞広告や雑誌広告、特設サイト制作などのプロモーション費用

を積み上げていくと、トータルで一千万円規模のプロジェクトになることも十分あり得ます。

「お金がたくさんあるので、上製本を大量に作って全国書店にばらまき、広告も打ちたい」という選択肢は現実に存在しますが、その代わり必要な予算もこのレベルになる、というイメージです。


【部数別】費用のシミュレーション(100部・500部・1000部)

ここからは、もう少しイメージしやすいように、

  • A5判
  • 200ページ前後
  • 本文モノクロ
  • 並製本(ソフトカバー)

くらいの条件を想定しながら、「印刷のみ」と「編集付きパック」の具体例を見てみます。
⚠️印刷費用のみですので、編集費用データ作成費用、流通費用は入っておりません。

100部で作る場合

パターン1:印刷会社に「印刷と製本だけ」頼む(オフセット系・並製本)

自費出版の印刷費を解説した記事では、同じA5判・200ページ・モノクロの小説で、

  • 100部印刷 約12万円(1冊あたり約1,200円)
  • 500部印刷 約30万円(1冊あたり約600円)
  • 1000部印刷 約45万円(1冊あたり約450円)

という試算が紹介されています。
小説の自費出版費用の解説(玄武書房)

また、印刷会社のオンデマンド印刷の例として、

  • カバーあり無線綴じ・100冊で、表紙・本文・カバー・製本を含め約10万7,000円(1冊あたり約1,070円)

という参考価格表も公開されています。
自費出版向け印刷価格例(ISSメイン)

印刷+製本だけ印刷会社に依頼し、編集やデザインは自分で用意する前提なら、

  • 100部で10万〜15万円程度

が一つの目安になります。

パターン2:編集付きの自費出版パックで100部

編集者が原稿を見てくれて、表紙やレイアウトもお任せする場合は、同じ100部でも金額が一段上がります。

  • 書籍づくり本舗

    A5判・小説タイプ・モノクロ本文・100部で418,000円のパッケージ例あり。

    書籍づくり本舗 価格表
  • 青山ライフ出版

    四六判・並製・オンデマンド100冊で、ページ数により32万円〜56万円程度のレンジ。

    青山ライフ出版 価格表

このゾーンは、

  • 100部でも編集付き+書店流通を前提にすると、合計50万円前後
  • 大手やフルサポートになると100万円近くまで上がるケースもある

という感覚になります。

パターン3:POD+セルフパブで100部欲しい場合

MyISBNやムゲンブックスなどのPOD系セルフパブでは、

  • 著者の初期費用は0〜5,000円台
  • 印刷費は注文が入った分だけ発生(印刷費は本の売上でまかなうので、支払いは不要)

という設計になっています。
MyISBN 料金ページ
∞books(ムゲンブックス) よくある質問

一般的なPOD印刷の例では、A5判・200ページ・モノクロで100部印刷が12万円前後でしたから、PODセルフパブでも

  • 100部買って配ると印刷分だけで10万円前後

というイメージを持っておくと極端には外れません。

大きな違いは、

  • 印刷会社に頼むと最初にまとめて10万円以上を払って在庫を抱える
  • POD+セルフパブなら、必要になった時に1冊から注文できる

というキャッシュフローと在庫リスクの差です。 まとめて頼んでも家で在庫の山として抱えるのは大変です。
「自宅での保管が必要ない」ということも出版において大きなメリットです。


500部〜1000部で作る場合

パターン4:印刷会社でオフセット印刷(並製本・モノクロ)

玄武書房のホームページでは、A5判・200ページ・モノクロの小説で、

  • 500部印刷 約30万円(1冊あたり約600円)
  • 1000部印刷 約45万円(1冊あたり約450円)

という例が紹介されています。
小説の自費出版費用の解説(玄武書房)

パレードブックスでは、A5サイズ200ページの場合、

といった目安も提示されています。
パレードブックス – 自動見積

パターン5:編集付き+書店流通+500〜1000部

編集付きパック+書店流通で500〜1000部という条件になると、前述の通り、多くの事例で

  • 200万〜300万円くらいのレンジ

に入ってきます。

編集費・デザイン費、オフセット印刷費(500〜1000部)、書店流通費・倉庫保管費、書店営業や販促費などをまとめて依頼すると、1冊あたりの利益を確保するためにもこのくらいの水準になりやすい、というイメージです。

先ほどのパレードブックスでも、書店流通を入れると+20万円くらい追加で必要となります。


出版社タイプ別の特徴と相場(具体例つき)

IT系セルフパブリッシング(POD)

例:MyISBN、∞books ムゲンブックス など

  • 出版費用
  • 印刷費
    • 注文ごとに1冊ずつPODで印刷(注文時の売上で印刷費を賄うので著者負担ゼロ)
    • 著者自身が手元におきたい場合は、販売価格の2割引で「著者ストア」で購入可能(1000円の本なら800円で買える)

このタイプは、

  • 初期費用を極小にしたい
  • 在庫を抱えたくない
  • それでもAmazonや楽天ブックスなどの流通網は使いたい

というニーズにとてもよく合います。

自費出版専門会社(中価格帯)

例:書籍づくり本舗、青山ライフ出版 など

  • 書籍づくり本舗
  • 青山ライフ出版

このゾーンは「編集+デザイン+書店流通」を含めたフルパックで、

  • 100部なら数十万円
  • 500〜1000部なら百万円台〜

というイメージになります。

大手出版社の自費出版部門(高価格帯)

例:新潮社の自費出版、幻冬舎ルネッサンス新社 など

ライターによる原稿執筆や書店営業、POP展開、広告出稿まで含めると、 500〜800万円にもなってきますので、上製本や部数増、広告枠の追加などを重ねると、一冊の企画で総額一千万円規模になるケースも十分想定できます。


まとめ:上製本で一千万円コースか、PODセルフパブリッシングか

ここまで見てきたように、

  • 上製本 × オフセット印刷 × 編集・装丁・広告込み × 全国配本

という組み合わせで本気でやろうとすれば、一冊の企画で数百万円、条件次第では一千万円クラスの投資になることもあります。お金がたくさんあって、名刺代わりではなく「事業そのもの」として本を使うなら、それも一つの選択肢です。

一方で、多くの著者にとって現実的なのは、

  • 並製本、もしくは必要に応じて上製本
  • POD
  • IT系セルフパブリッシング
  • オンライン書店中心の販売

といった組み合わせです。この形なら、数千円〜数十万円の予算でスタートでき、在庫リスクもなく、Amazonなどの既存の流通網も活用できます。

結論としては、

  • お金をたっぷりかけて豪華な上製本を作り、全国に配るという道もあるが、一千万円以上かかることもある
  • 現実的には、PODとセルフパブリッシングを組み合わせることで、費用を抑えつつ流通網も活用できる

という二つの道があり、多くの人にとっては後者がバランスの良い選択肢になりやすい、というイメージです。

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この記事を書いた人

初めて出版する個人著者さんに、Wordや一太郎を使ったかんたん・低コストな本づくりの手順をお伝えしています。
とくに、在庫リスクやムダな廃棄をなくし、環境にも経営にも優しいPOD出版という新しい形を広めることが今のテーマです。
返本率が過去最高と言われる出版業界の中で、「無理なく続けられる出版スタイル」を一緒に考えていきましょう。

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