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自費出版の契約で失敗しない!契約書の種類とチェックすべき重要条項

「出版が決まりました! こちらの契約書にサインをお願いします」
編集者からそう言われたら、舞い上がってすぐにサインしたくなるかもしれません。
しかし、契約書はあなたの権利を守るための「最強の武器」であり「盾」です。

自費出版のトラブルの多くは、契約内容の確認不足から生まれています。
「思っていたより費用がかかった」
「在庫が自分のものじゃなかった」
「解約しようとしたら高額な違約金を請求された」

そんな事態を避けるために、契約の種類と、契約書を読み解くためのチェックポイントをしっかり押さえておきましょう。

目次

1. 自費出版の契約形態の種類

一口に「出版契約」と言っても、いくつかのパターンがあります。

企画出版(商業出版)

出版社が制作費や宣伝費を全額負担し、著者に印税(定価の10%程度)を支払う形態です。
著者の金銭的リスクはゼロですが、企画が採用されるハードルは非常に高いです。自費出版と商業出版の違いとは?費用・決定権・流通を徹底比較 も参考にしてください。

協力出版(共同出版)

出版社と著者が費用を出し合う形態です。
「あなたの作品には才能があるから、うちも投資します」などと言われますが、実質的には自費出版と変わらないケースが多く、トラブルになりやすい要注意な契約形態です。共同出版(協力出版)とは?甘い言葉に隠されたリスクと正しい活用法 でリスクを解説しています。

自費出版(個人出版)

著者が制作費を全額負担する形態です。
その代わり、本の内容や仕様を自由に決められ、売上の還元率も高めに設定されることが多いです。

電子出版契約(KDPなど)

Kindleダイレクト・パブリッシング(KDP)などを利用する場合、個別の契約書ではなく、プラットフォームの利用規約に同意する形になります。

2. 契約書の読み方と重要条項

契約書特有の「甲(出版社)」「乙(著者)」という表現に惑わされず、以下のポイントを確認しましょう。

費用の総額と内訳

  • 見積もりに含まれているのはどこまでか。
  • 修正回数に制限はあるか、ページ数が増えたら追加料金がかかるか。
  • 最終的に支払う総額が明確になっているか。

著作権の帰属

  • 「本著作物の著作権は乙(著者)に帰属する」となっているか。
  • もし「甲(出版社)に譲渡する」となっていたら、修正を求めるべきです。

出版権の設定期間

  • 出版権(独占的に出版する権利)の期間は何年か(通常は1〜3年)。
  • 自動更新されるのか、申し出がない限り終了するのか。

在庫の所有権と処分方法

  • 作った本の所有権は誰にあるのか。
  • 著者が自由に引き取れるのか、倉庫での保管料はかかるのか。
  • 売れ残った場合の処分方法(買い取り、溶解など)と費用負担。

印税(売上還元金)

  • 「発行部数」ベースか「実売部数」ベースか。
  • 支払時期と振込手数料の負担。

編集方針やデザインの決定権

  • タイトルや表紙デザインを誰が決めるのか。
  • 「甲乙協議の上決定する」となっていれば安心ですが、出版社の独断で決められないように注意が必要です。

3. 悪質な契約(出版商法)の手口

著者の夢につけ込む悪質な業者も存在します。

  • 褒め殺し商法:「あなたの本は素晴らしい」と褒めちぎり、相場よりはるかに高い制作費で契約させる。
  • 誇大広告:「全国の書店に並ぶ」と言いながら、実際には一部の書店にしか置かれない。
  • コンテスト商法:コンテストの落選者に「特別に出版できる」と持ちかけ、費用を請求する。

4. 契約書に関する実務知識

契約書がない場合

出版社を通さず、印刷所やデザイナーと直接契約する場合などは、自分で契約書を用意することもあります。
日本書籍出版協会などが公開しているひな形を参考にすると良いでしょう。

印紙税

契約金額に応じた収入印紙を貼り、消印(割り印)を押す必要があります。
電子契約(クラウドサインなど)の場合は不要です。

保管と更新

契約書は大切に保管し、自動更新のタイミングなどを把握しておきましょう。
住所変更があった場合は、速やかに出版社に通知します。

まとめ

契約は、出版社とあなたが対等なパートナーとしてプロジェクトを進めるための約束事です。
相手を疑うのは気が引けるかもしれませんが、曖昧なまま進める方が後々お互いのためになりません。
わからないことは質問し、納得できない条項は修正を求める。
その勇気が、あなたの夢を守ることにつながります。
笑顔で出版日を迎えるために、契約という入り口をしっかり固めましょう。

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この記事を書いた人

初めて出版する個人著者さんに、Wordや一太郎を使ったかんたん・低コストな本づくりの手順をお伝えしています。
とくに、在庫リスクやムダな廃棄をなくし、環境にも経営にも優しいPOD出版という新しい形を広めることが今のテーマです。
返本率が過去最高と言われる出版業界の中で、「無理なく続けられる出版スタイル」を一緒に考えていきましょう。

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