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自費出版した本をシェア型書店で売ろう!メリットや費用、置き方をやさしく解説

自費出版で本を作ってみたものの、「どこで売ればいいんだろう?」と悩んでしまうことはありませんか。
もし、自分の本が街の本屋さんに並び、誰かに手に取ってもらえたら素敵ですよね。
そんな夢を叶えてくれるのが、今全国で増えている「シェア型書店」という新しい場所です。
初めてでも安心して利用できる仕組みや、その魅力について、ひとつずつ一緒に見ていきましょう。

目次

シェア型書店とは?:個人の本を置ける「棚貸し本屋」

シェア型書店とは、ひとつの大きなお店にある「棚のひと区画」を借りて、誰でも自分の本屋さんを持てるサービスのことです。
「棚主(たなぬし)」や「オーナー」と呼ばれる借り手が、月々の利用料を払って棚を借り、そこに好きな本を並べて販売します。
一般的な書店に本を置いてもらうには「取次(とりつぎ)」という流通業者を通す必要があり、個人の自費出版には高いハードルがありました。
しかし、シェア型書店ならお店と直接契約するだけなので、ISBNコード(本の背表紙にあるバーコード)がない同人誌やZINE、手作りの本でも気軽に置くことができます。

みんなで運営する新しい本屋のカタチとしても注目されています。
多くのお店では、棚主同士が交流するイベントがあったり、希望すれば店番としてお店に立てたりすることもあります。
単に「本を売る場所」であるだけでなく、本が好きな人たちが集まるコミュニティとしての温かさがあるのも特徴です。

シェア型書店を利用する3つのメリット

「ネットショップで売るのと何が違うの?」と思われるかもしれませんね。
実は、シェア型書店だからこそ得られる、著者にとって嬉しいポイントがたくさんあるんです。

1. 誰でも少部数からスタートできる

一番のメリットは、やはり「始めやすさ」です。
商業出版や大きな流通ルートに乗せるには、何百部、何千部という在庫が必要になることが一般的です。
でも、シェア型書店の棚なら、極端な話、手元にある1冊からでも置くことができます。
「まずは5冊だけ置いてみて、売れたら補充しよう」というペースで進められるので、大量の在庫を抱えるリスクがありません。
初めて本を作ったばかりの方でも、無理なく「書店デビュー」ができるのです。

2. 読者や他の棚主とのつながりが生まれる

ネット販売では、買った人がどんな人なのか、なかなか見えにくいものです。
シェア型書店で店番をしたり、お店に通ったりしていると、自分の本を手に取ってくれた人の顔を直接見られるチャンスがあります。
「この表紙、素敵ですね」と声をかけてもらえたり、他の棚主さんと「本作り、大変ですよね」と共感し合えたりするのは、リアルな場所ならではの喜びです。
孤独になりがちな執筆活動も、こうした出会いがあることで、もっと楽しく続けられるかもしれません。

3. 自分だけの「世界観」を表現できる

借りた棚の中は、あなたの小さなお城です。
本を並べるだけでなく、手書きのPOP(紹介カード)を置いたり、可愛らしい雑貨で飾り付けたりと、自由にレイアウトを楽しめます。
自分の書いた本だけでなく、影響を受けた小説や、執筆の参考にした資料本などを一緒に並べて、「私はこういう世界観が好きです」と表現することもできます。
ただ商品を置くだけではない、あなた自身の個性が詰まった空間作りを楽しんでみてください。

全国に広がるシェア型書店の例

シェア型書店は、東京だけでなく日本中に少しずつ広がっています。
「もしかしたら、家の近くにもあるかも?」と探してみると、意外な出会いがあるかもしれません。

東京都内・関東近郊のシェア型書店

シェア型書店のブームを牽引してきた有名店が多く集まるのが、やはり東京を中心とした関東エリアです。
渋谷や吉祥寺、下北沢といった文化の発信地には、メディアでもよく取り上げられるお店が点在しています。
こうした人気エリアのお店は、多くの人の目に触れるチャンスがある一方で、棚の空き待ちが発生していることもあります。
少し郊外に目を向けてみると、商店街の中にあるアットホームなお店など、落ち着いた雰囲気の場所も見つけやすいでしょう。

関西・地方のシェア型書店

最近では、大阪や京都、福岡といった地方都市でもユニークなシェア型書店が増えてきました。
古いビルをリノベーションしたお洒落なお店や、カフェが併設されていてコーヒーを飲みながら本を選べるお店など、個性も豊かです。
地元の商店街に根付いたお店なら、近所に住む本好きさんがふらりと立ち寄ってくれる可能性も高いです。
「遠くの有名店より、通える距離のお店」を選ぶのも、長く続けるための賢い選択かもしれません。

日本全国・シェア型書店リストを見る

自分の本を棚に置くまでの5ステップ

「やってみたい!」と思ったら、次は実際の行動に移してみましょう。
難しそうに見えるかもしれませんが、手順は意外とシンプルです。
ここでは一般的な流れをご紹介しますね。

1. お店を探して見学に行く

まずはインターネットで「シェア型書店 〇〇(地名)」などを検索して、候補のお店を見つけましょう。
日本全国・シェア型書店リストの店舗が近くにあるかも確認してください。
そして大切なのが、一度はお客さんとしてお店に行ってみることです。
お店の雰囲気は明るいか、店主さんは話しやすいか、置かれている本は自分の本と相性が良さそうか。
「ここに自分の本を置きたいな」と心から思える場所かどうか、肌で感じてみてください。

2. 空き状況の確認と申し込み

気に入ったお店が見つかったら、棚に空きがあるかを確認します。
人気のお店だと「キャンセル待ち」のリストに登録して待つことになる場合もあります。
多くのお店では、公式サイトやSNSで棚主の募集要項を公開しています。
申し込み条件や規約をよく読んで、Webフォームなどから応募しましょう。

3. 契約と費用の支払い

無事に棚が確保できたら、正式な契約に進みます。
利用規約にサインをして、初期費用や最初の数ヶ月分の利用料を支払います。
お店によっては、本人確認書類の提出が必要な場合もあります。
契約期間は「最低3ヶ月から」などと決まっていることが多いので、事前に確認しておくと安心です。

4. 本の搬入と棚の飾り付け

いよいよ、あなたの本をお店に並べる日です。
本を直接お店に持ち込むか、遠方の場合は郵送で送ります。
ただ並べるだけでなく、読者の目を引くようなPOPや、本を立てるためのスタンドなども用意しておきましょう。
「どんな人が書いたのか」がわかるプロフィールカードを添えるのもおすすめです。

5. 販売開始と管理

セット完了、これにて「あなたの本屋さん」の開店です!
売上があったときは、月末にお店から連絡が来たり、専用の管理システムで確認できたりします。
定期的に売れ行きをチェックして、本が少なくなっていたら補充をしましょう。
季節に合わせてPOPを変えたり、並べ方を工夫したりして、棚を育てていくのも楽しみのひとつです。

気になる予算:いくらくらいで借りられる?

「興味はあるけれど、あまり高いとお財布が心配……」という方もいらっしゃいますよね。
シェア型書店を利用するためにかかるお金は、大きく分けて「場所代」と「手数料」の2つです。
だいたいの相場を知っておけば、安心して計画を立てられますよ。

初期費用と月額利用料のめやす

まず毎月かかるのが、棚の「賃料(月額利用料)」です。
お店の立地や棚の大きさ、段の位置(目線の高さかどうか)によって変わりますが、月額2,000円〜4,000円くらいが一般的です。
これに加えて、最初に「入会金」や「登録料」として数千円〜1万円程度の初期費用がかかる場合があります。
お小遣いの範囲で無理なく続けられる金額かどうか、計算してみましょう。

販売手数料について

本が売れたときには、売上の10%〜20%程度が「販売手数料」としてお店に引かれることが多いです。
例えば1,000円の本が売れたら、100円〜200円がお店に入り、残りの800円〜900円があなたの手取りになります。
中には「月額利用料が高い代わりに、販売手数料は無料(売上100%還元)」というお店もあります。
とはいえ、シェア型書店は「本を売って大儲けする場所」というよりは、「本を置く場所を借りる賃料」を払って楽しむ場所、と捉えておくのが健全かもしれません。

まとめ:小さな本屋さんから、作家活動をはじめよう

自分の本が書棚に並び、誰かの目に留まる。
そんな体験ができるシェア型書店は、自費出版作家としての第一歩を踏み出すのにぴったりの場所です。
売れる喜びはもちろんですが、そこから広がる人との出会いや、自分の居場所ができる安心感は、何物にも代えがたい宝物になるはずです。

もし近くにお店があったら、今度の休日にふらりと覗いてみてはいかがでしょうか。
「ここなら楽しそう」と思える場所が見つかれば、あなたの本作りはもっとワクワクするものに変わっていきますよ。
まずは小さく、自分だけの本屋さんを始めてみませんか。

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この記事を書いた人

初めて出版する個人著者さんに、Wordや一太郎を使ったかんたん・低コストな本づくりの手順をお伝えしています。
とくに、在庫リスクやムダな廃棄をなくし、環境にも経営にも優しいPOD出版という新しい形を広めることが今のテーマです。
返本率が過去最高と言われる出版業界の中で、「無理なく続けられる出版スタイル」を一緒に考えていきましょう。

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