「本を出したいけれど、資金が足りない」
「もっと多くの人を巻き込んで、出版をお祭りにしたい」
そんな著者の強い味方が「クラウドファンディング(クラファン)」です。
インターネットを通じて、不特定多数の人から支援金を募るこの仕組みは、出版業界でも広く使われるようになりました。
単にお金を集めるだけでなく、発売前からファンを作り、本の認知度を高めるプロモーションとしても非常に有効です。
ここでは、出版クラウドファンディングの仕組みと、プロジェクトを成功させるための秘訣をご紹介します。
出版クラウドファンディングの仕組み
まずは基本的なルールを知りましょう。
制作費や宣伝費を支援者から集める
印刷費、デザイン費、広告費など、出版にかかる費用を目標金額として設定し、支援を募ります。
支援してくれた人には、完成した本やグッズなどを「リターン(お返し)」として送ります。必要な費用の目安は 自費出版の費用相場とシミュレーション!100部・500部の見積もり目安 で確認できます。
「All-in」と「All-or-Nothing」方式の違い
- All-in(オールイン):目標金額に達しなくても、集まった分だけ受け取れる方式。確実に実行するプロジェクトに向いています。
- All-or-Nothing(オールオアナッシング):目標金額に達した場合のみ受け取れる方式。未達なら1円も入りませんが、支援者に返金されるためリスクはありません。「〇〇円集まらなければ出版しない」という挑戦的なプロジェクトに向いています。
リターン(返礼品)の設定(本、サイン、イベント参加権など)
支援金額に応じて、魅力的なリターンを用意します。
– 完成した書籍(サイン入り)
– 書籍にお名前掲載
– 出版記念パーティー招待券
– 著者による講演会主催権
– オリジナルグッズ(Tシャツ、トートバッグなど)
プロジェクトページの作り方
「なぜこの本を出したいのか」「この本で何を伝えたいのか」という熱い想いを綴ったページを作成します。
ここでの文章力が、支援が集まるかどうかを左右します。
クラファンのメリット・デメリット
お金以外の側面も理解しておきましょう。
メリット:資金調達と同時にファン作りができる
支援者は、あなたの夢を応援してくれる「協力者」です。
本ができる過程を共有することで、発売前から熱心なファンになってくれます。
メリット:予約販売としての機能(在庫リスク低減)
「本をリターンにする」ということは、実質的な「予約販売」です。
あらかじめ必要な部数が読めるため、在庫リスクを減らすことができます。
デメリット:準備と運営に手間がかかる
ページ作成、リターンの設計、SNSでの拡散、支援者への対応、リターンの発送など、やることは山積みです。
本を書く作業と並行して行うのは、かなりの労力が必要です。
デメリット:目標未達の場合のダメージ
All-or-Nothing方式で失敗した場合、「支持されなかった企画」というレッテルが貼られてしまうリスクがあります。
精神的なダメージも大きいです。必ず成功するように、友人への事前の声掛けをしておきましょう。
成功させるためのポイント
ただページを作って待っているだけでは、お金は集まりません。
共感を呼ぶストーリー(なぜこの本を出すのか)
「私が本を出したいからお金をください」では誰も支援しません。
「この本を出すことで、世の中をこう変えたい」「こんな人を救いたい」という、社会的な意義や個人的なストーリーを語りましょう。
魅力的なリターン設計
「ただの寄付」ではなく「お金を払っても良い」と思わせるリターンを用意します。
「書籍+セミナー動画」「書籍+個別コンサル」など、本に付加価値をつけたセットが人気です。
開始直後のスタートダッシュ
クラファンは「初速」が命です。
公開から数日で目標金額の20〜30%を集めると、成功率がグッと上がります。
事前に友人に声をかけておき、開始と同時に支援してもらうよう根回ししましょう。
プレスリリースを用意しておく
クラウドファンディングが始まること自体にはニュースバリューがありませんが、「開始◯分で150%達成!」などはニュースになります。開始直後のスタートダッシュを成功させてプレスリリースを配信し、さらに多くの人にプロジェクトを知ってもらえるような仕組みをあらかじめ考えておきましょう。
活動報告(アップデート)でのこまめな発信
期間中は、活動報告機能を使って進捗を報告し続けます。
「表紙デザインが決まりました!」「あと〇〇円で達成です!」など、ライブ感を演出します。
クラファン後の展開
プロジェクト終了後が、本当のスタートです。
支援者への配送と御礼
集まった資金で本を作り、支援者に発送します。
お礼の手紙を添えるなど、最後まで丁寧に対応しましょう。
一般販売へのつなげ方
クラファンで話題になった実績を引っ提げて、Amazonや書店での一般販売を開始します。
「クラファンで〇〇万円集めた話題作!」というキャッチコピーが使えます。
支援者コミュニティの維持
支援者限定のFacebookグループを作るなどして、つながりを維持します。
彼らは、あなたの次の活動も応援してくれる最強の味方になります。
「みんなで作った本」という物語
「私一人の本」ではなく、「支援者の皆さんと一緒に作った本」という物語が生まれます。
その物語こそが、他の本にはない最大の価値となります。
まとめ
クラウドファンディングは、単なる集金ツールではありません。
あなたの夢に共感し、背中を押してくれる仲間を集めるための「旗印」です。
「一人ではできないことも、みんなとならできる」
そんな感動を味わえるのも、出版クラファンの醍醐味です。
勇気を出して、プロジェクトを立ち上げてみませんか?
