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自費出版で重版(増刷)を目指すには?条件と費用、販売戦略

「重版出来(じゅうはんしゅったい)!」
ドラマや漫画で有名になったこの言葉。
本を出す人にとって、これほど甘美な響きはありません。
初版が売り切れ、追加で印刷すること。
それは、あなたの本が世の中に認められ、多くの人に求められている証拠です。
しかし、商業出版でも難しい重版を、自費出版で達成することはできるのでしょうか?
ここでは、自費出版における重版の仕組みと、そのハードルを越えるための戦略についてお話しします。

目次

重版(増刷)とは何か

まずは言葉の定義を確認しましょう。

初版が売り切れて追加で印刷すること

最初に刷った分(初版)が市場からなくなり、さらに需要がある場合に、同じ版を使って追加印刷することを「重版」または「増刷」と言います。

「重版出来(じゅうはんしゅったい)」の意味

「重版が出来上がった」という意味の業界用語です。
出版社にとって、売れている証拠であり、お祝い事です。

改訂版との違い

内容を修正・加筆して出し直す場合は「改訂版」や「新版」となり、別の本として扱われます(ISBNコードも変わることがあります)。
重版は、基本的に内容はそのまま(誤字修正程度)です。

自費出版で重版がかかる確率は?

非常に低いです。
多くの自費出版は初版のみで終わります。
だからこそ、重版がかかった時の喜びはひとしおです。

重版するための条件とタイミング

どんな時に重版が決まるのでしょうか。

書店からの追加注文が一定数を超えた時

書店流通している場合、各書店からの追加注文(客注や補充)が積み上がり、倉庫の在庫がなくなった時に重版を検討します。

Amazonなどのネット書店で在庫切れが続いた時

Amazonのランキングが急上昇し、在庫切れ(入荷待ち)の状態が続くと、機会損失を防ぐために急いで増刷します。

メディアで紹介されて注文が殺到した時

テレビや新聞、有名人のSNSなどで紹介され、爆発的に売れた時(いわゆる「バズった」時)は、緊急重版がかかります。

著者が買い取って手売り分を補充する時

著者が講演会などで手売りしていて、手持ちの在庫がなくなったために、自費で追加注文する場合も重版の一種です。

重版にかかる費用とリスク

重版はおめでたいことですが、お金の話も無視できません。

初版よりは割安になる(版下代が不要なため)

印刷用のデータ(版下)はすでに出来ているため、デザイン費や組版費はかかりません。
印刷・製本費だけで済むため、1冊あたりの単価は初版より安くなります。

最低ロット数(数百部〜)の壁

オフセット印刷の場合、ある程度まとまった部数(数百部〜)でないと印刷を受けてもらえないか、単価が高くなります。
「あと50冊だけ欲しい」といった小回りは利きにくいです。

在庫リスクが再び発生する

重版した分がすべて売れる保証はありません。
勢いで増刷したものの、ブームが去って在庫の山になる……という「重版貧乏」のリスクもあります。

電子書籍やPODなら重版コストはゼロ

電子書籍やPOD(プリント・オン・デマンド)なら、データがある限り無限に販売できるため、重版という概念もコストもありません。プリント・オン・デマンド出版(POD出版)とは?在庫リスクなしで紙の本を出す仕組みとサービス比較 も参考にしてください。

重版を目指すための販売戦略

待っているだけでは重版は来ません。

初速(発売直後)の売上を最大化する

書店は「発売直後の売れ行き」を見て、その本を置き続けるか返品するかを決めます。
発売日に合わせてSNSで告知したり、知人に購入をお願いしたりして、初速をつけることが重要です。自費出版からベストセラーは生まれる?ヒット作の条件と著者の心構え もあわせてご覧ください。

読者の口コミを拡散させる

実際に読んだ人の感想(レビュー)が、次の読者を呼びます。
感想キャンペーンを行うなどして、口コミを広める仕掛けを作りましょう。

書店員との関係を強化する

地元の書店に挨拶回りに行き、POPを置かせてもらうなど、書店員さんに応援してもらえる関係を作ります。

著者自身が一番の営業マンになる

出版社任せにせず、著者自身が汗をかいて宣伝・販売することが、重版への一番の近道です。

まとめ

重版は、著者の勲章です。
しかし、それはゴールではなく、より多くの読者に届けるための通過点に過ぎません。
数字や部数にこだわりすぎず、「長く読み継がれる本」を目指して、地道な活動を続けてください。
その先に、きっと「重版出来!」の声が待っています。

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この記事を書いた人

初めて出版する個人著者さんに、Wordや一太郎を使ったかんたん・低コストな本づくりの手順をお伝えしています。
とくに、在庫リスクやムダな廃棄をなくし、環境にも経営にも優しいPOD出版という新しい形を広めることが今のテーマです。
返本率が過去最高と言われる出版業界の中で、「無理なく続けられる出版スタイル」を一緒に考えていきましょう。

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