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共同出版(協力出版)とは?甘い言葉に隠されたリスクと正しい活用法

「あなたの本を、私たちと一緒に出版しませんか?」
出版社からそんなオファーを受けたら、作家を目指す人なら誰でも胸が高鳴るはずです。
それが「共同出版」という形であっても、「プロが認めてくれた」という事実は嬉しいものですよね。
でも、ちょっと待ってください。その契約、本当にあなたにとって有利なものでしょうか?
共同出版というビジネスモデルの裏側を、少しシビアな視点で見ていきましょう。

目次

共同出版(協力出版)の仕組みと実態

共同出版は、会社によっては「協力出版」や「企画出版」とも呼ばれますが、実態はほぼ同じです。
「著者と出版社が費用を出し合う」という建前ですが、その中身には注意が必要です。

建前:リスクとリターンの共有

「あなたの才能を世に出すために、私たちもリスクを負います」
出版社はそう言いますが、実際には「売れる見込みのない本」に投資する出版社はありません。

本音:著者の負担額で利益を確保するビジネス

例えば、実際の制作費が100万円の本に対し、「総額300万円かかります。折半で150万円負担してください」と持ちかけられたらどうでしょう?
著者は制作費以上の金額を払い、出版社は最初から50万円の利益を得ることになります。
これが、共同出版のビジネスモデルの闇と言われる部分です。自費出版の詐欺・トラブル事例集!悪質な手口と被害に遭わないための対策 でも注意喚起しています。

共同出版の費用相場

  • 相場:100万円〜300万円程度
  • 内訳:制作費、流通費、宣伝費など(ただし、実態が伴っているか要確認)

格安の自費出版に比べれば遥かに高額です。「共同」という言葉に惑わされず、その金額が適正かどうかを見極める必要があります。自費出版の費用相場とシミュレーション!100部・500部の見積もり目安 で相場を確認しましょう。

共同出版で成功するケース

ネガティブな話ばかりではありません。成功するパターンもあります。

  1. 著者に強力なファンがいる:SNSのフォロワーが多いなど、著者の発信力と出版社の流通網が掛け合わさる場合。
  2. ニッチだが確実な需要がある:専門書など、特定の層に確実に届ける必要がある場合。
  3. ビジネスツールとして割り切る:本を名刺代わりに使い、本業の集客に繋げる場合。

ただし、こういった場合は共同出版ではなくPOD出版の方が出版費用が安くなりますので、さらに成功の確率があがります。

共同出版のトラブル事例と落とし穴

国民生活センターにも多くの相談が寄せられているトラブル事例です。

1. 「賞商法」に注意

「出版賞で優秀賞に選ばれました!書籍化しましょう(ただし費用は負担してね)」
これは著者の自尊心をくすぐる典型的な手口です。本当に商業出版なら、著者の負担はゼロのはずです。

2. 「売れたら返金」の罠

「初版が完売したら制作費をお返しします」
甘い言葉ですが、実際に完売することは稀です。返金条件が極めて厳しく、最初から返す気がないケースもあります。

3. 書店流通の実態

「全国の書店に並びます」と言われても、実際には一部の書店に数週間置かれるだけ、ということも。

実際に、過去には以下のようなトラブルも報じられています。

2007年7月4日、元大学教授ら3人が、全国約800の書店で販売される等と勧誘されて新風舎と契約を結んだにもかかわらず、実際には一部の書店(原告のひとりの場合にはわずか3店)でしか販売されなかったとして、約800万円の賠償を請求する訴訟を東京地方裁判所に提起したと報じられた。

Wikipedia:共同出版より引用

これは過去の事例ですが、契約内容と実態の乖離には常に注意が必要です。

契約前のチェックリスト

契約書にハンコを押す前に、必ず確認してください。

  • [ ] 費用の内訳は詳細か?:「一式」ではなく、何にいくらかかるのか。
  • [ ] 具体的な配本計画はあるか?:どこの書店に、何冊、いつまで置かれるのか。
  • [ ] 在庫の買い取り義務はないか?:売れ残った本を買い取らされる条項がないか。
  • [ ] 契約解除の条件は?:トラブルになった際、スムーズに解約できるか。

まとめ

共同出版は、夢へのチケットであると同時に、高額な投資商品でもあります。
その投資が、あなたの人生にとってプラスになるのか、マイナスになるのか。
感情に流されず、ビジネスとして冷静に計算した上で、決断してください。

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この記事を書いた人

初めて出版する個人著者さんに、Wordや一太郎を使ったかんたん・低コストな本づくりの手順をお伝えしています。
とくに、在庫リスクやムダな廃棄をなくし、環境にも経営にも優しいPOD出版という新しい形を広めることが今のテーマです。
返本率が過去最高と言われる出版業界の中で、「無理なく続けられる出版スタイル」を一緒に考えていきましょう。

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