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自費出版の原稿作成ガイド。執筆から入稿データの作り方まで

「書きたいことはあるけれど、どうやって原稿にすればいいの?」
「Wordで書いてもいいの?それとも専用のソフトが必要?」
初めての本作りでは、原稿作成の段階でつまずいてしまうことも少なくありません。
でも、基本的なルールさえ押さえておけば大丈夫。
執筆から入稿データの作成まで、スムーズに進めるためのポイントを解説します。

目次

自費出版の原稿作成の基本

まずは、執筆環境を整え、本の仕様に合わせた書き方を決めましょう。

執筆ツールの選び方(Word、テキストエディタ、音声入力)

最も一般的なのは「Microsoft Word」です。
縦書き表示もできますし、ページ設定をすれば実際の仕上がりイメージを確認しながら書くことができます。
文章を書くことに集中したいなら、シンプルな「テキストエディタ」もおすすめ。
最近では、スマホの「音声入力」を使って、喋った内容を文字に起こす方法も人気です。

縦書きと横書きのルール違い

小説やエッセイ、自分史、ビジネス書などは「縦書き」、実用書、IT関連書などは「横書き」が一般的です。
縦書きの場合、数字は漢数字(一、二、三)を使うのが基本ですが、横書きなら算用数字(1、2、3)を使います。
また、英単語の扱いなども異なるので、最初にどちらにするか決めておきましょう。

1ページあたりの文字数と行数の目安

本のサイズによって、1ページに入る文字数は変わります。
一般的な四六判(127mm×188mm)の場合、1行40文字×16〜18行程度が読みやすいとされています。
1ページあたり500〜700文字を目安にすると良いでしょう。
これを基準に、全体で何ページくらいになるか計算してみましょう。

見出しの階層構造(章・節・項)

ダラダラと文章を続けるのではなく、適切な「見出し」をつけて区切りましょう。
大見出し(章)、中見出し(節)、小見出し(項)というように階層構造を作ると、読者が内容を理解しやすくなります。
目次を作る際にも、この見出しがそのまま使われます。

原稿が書けない時の対処法

「いざパソコンに向かうと、手が止まってしまう…」
そんな「書けない病」にかかった時の処方箋です。

目次(構成案)から作る

いきなり本文を書き始めるのではなく、まずは目次(章立て)を完成させましょう。
目次は本の地図です。
地図があれば、次はどこに向かえばいいのか迷うことはありません。
見出しごとに何を書くか、箇条書きでメモをしていくことから始めましょう。

インタビュー形式で話したことを文字に起こす

書くのが苦手なら、話せばいいのです。
家族や友人に聞き手になってもらい、インタビュー形式で話した内容を録音します。
それを文字に起こせば、立派な原稿の素になります。
話し言葉(口語)を書き言葉(文語)に直すだけで、驚くほどスムーズに本が書けます。

ブログや日記を書き溜める

毎日少しずつ、ブログやSNSに投稿した記事をまとめるのも一つの方法です。
「本を書くぞ!」と気負わず、日々の記録を積み重ねていけば、いつの間にか一冊分の分量になっています。

プロのライターに依頼する

どうしても書けない、時間がないという場合は、プロのライターに執筆代行(ブックライティング)を依頼する手もあります。
費用はかかりますが、クオリティの高い原稿が確実に仕上がります。

入稿データの作り方

原稿が書き上がったら、印刷できるデータ形式に整えます。
自費出版サービスの多くは「完全データ入稿」を求めています。

完全データ入稿とテキスト入稿の違い

「完全データ入稿」とは、そのまま印刷できる状態(PDFなど)で入稿することです。レイアウトも自分で行います。
一方「テキスト入稿」は、文章データ(Wordやtxt)を渡し、レイアウトは業者にお任せする方法です。
費用を抑えたいなら完全データ入稿、きれいなレイアウトにしたいならテキスト入稿(別途費用がかかる場合あり)を選びましょう。
利用するサービスによっては入稿形式が決まっていることもありますので、あらかじめご確認ください。

画像の解像度と配置

写真やイラストを入れる場合、解像度に注意が必要です。
Web用の画像(72dpi)では印刷すると粗くなってしまいます。
印刷用には高解像度(300dpi〜350dpi)の画像を用意しましょう。

フォントの埋め込み(PDF入稿の場合)

PDFで入稿する場合、使っているフォント(書体)をファイルに埋め込む設定にする必要があります。
これを忘れると、印刷した時に別のフォントに置き換わってしまい、レイアウトが崩れる原因になります。

具体的なフォント埋め込み方法などについては「◯◯(ソフトウェア名) フォント 埋め込み」などで検索してみてください。

塗り足しとトンボの設定

紙の端まで色や写真があるデザインにする場合、「塗り足し(断ち落とし)」という余分な領域を作る必要があります。
また、断裁位置を示す「トンボ」をつけることも忘れずに。
これらは専用のソフトが必要な場合もあるので、利用する印刷会社のガイドラインをよく確認してください。

推敲と校正の重要性

書き上げた直後の原稿は、まだ未完成です。
磨き上げる作業(推敲・校正)を経て、初めて読めるものになります。自費出版の校正・校閲ガイド!「神は細部に宿る」本作り でプロの視点を学べます。

時間を置いて読み直す

書き上げた直後は頭が興奮していて、冷静な判断ができません。
一晩、できれば数日寝かせてから読み直してみましょう。
「なんでこんなこと書いたんだろう?」と思う箇所が必ず出てきます。

声に出して読んでみる(音読)

黙読では気づかないリズムの悪さや、誤字脱字も、声に出して読むと見つかりやすくなります。
つっかえる場所は、文章がねじれている証拠です。

第三者に読んでもらう

自分では完璧だと思っていても、他人から見ると意味が通じないことがあります。
家族や友人など、第三者に読んでもらい、率直な感想をもらいましょう。

誤字脱字は信頼を損なう

たった一つの誤字が、本全体の信頼を損なうこともあります。
「てにをは」の間違い、固有名詞のミス、表記ゆれ(「子供」と「子ども」の混在など)。
しつこいくらいにチェックしましょう。

まとめ

原稿作成は、地味で根気のいる作業です。
しかし、その一文字一文字が、あなたの想いを読者に届ける架け橋になります。
焦らず、丁寧に。
最後まで書き切った時の達成感は、何物にも代えがたいものですよ。

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この記事を書いた人

初めて出版する個人著者さんに、Wordや一太郎を使ったかんたん・低コストな本づくりの手順をお伝えしています。
とくに、在庫リスクやムダな廃棄をなくし、環境にも経営にも優しいPOD出版という新しい形を広めることが今のテーマです。
返本率が過去最高と言われる出版業界の中で、「無理なく続けられる出版スタイル」を一緒に考えていきましょう。

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