「本を出したいけれど、会社や近所の人には知られたくない……」
「自分の名前が好きじゃないから、かっこいい名前でデビューしたい!」
そんな時、強い味方になるのが「ペンネーム(筆名)」です。
夏目漱石も、太宰治も、実はペンネーム。
作家にとって名前は、作品の一部であり、自分自身を表現するブランドでもあります。
自費出版でも、もちろんペンネームを使うことは可能です。
ここでは、ペンネームを使うメリットや、後悔しない名前の決め方、そして知っておくべき注意点についてお話しします。
ペンネーム(筆名)を使うメリット
なぜ、あえて本名を隠すのでしょうか。
プライバシーを守れる(身バレ防止)
副業禁止の会社に勤めている場合や、プライベートな内容(闘病記や家族の問題など)を書く場合、本名を出さずに済むのは大きな安心感です。
「覆面作家」として活動する自由が得られます。
キャラクター設定ができる(ブランディング)
本の内容やジャンルに合わせて、著者のイメージを作り上げることができます。
例えば、恋愛小説ならロマンチックな名前、ビジネス書なら信頼感のある名前など。
名前自体が、読者へのメッセージになります。
公私の切り替えができる
「普段の自分」と「作家としての自分」を切り替えるスイッチになります。
ペンネームを持つことで、別人格になったような気分で、大胆な表現ができるようになるかもしれません。
覚えやすい名前にできる
本名が難読漢字だったり、ありふれた名前だったりする場合、覚えやすくインパクトのあるペンネームにすることで、読者の記憶に残りやすくなります。
ペンネームの決め方とアイデア
一生付き合うかもしれない名前。どうやって決めればいいでしょうか。
自分の名前をもじる
本名のアナグラム(文字の並べ替え)や、読み方を変える方法です。
(例:江戸川乱歩 → エドガー・アラン・ポー)
自分の中にルーツがあるので、愛着が湧きやすいです。
好きな言葉や漢字を組み合わせる
座右の銘や、好きな花、色、季節などの漢字を組み合わせます。
その名前に込められた意味やストーリーを語れると、ファンができやすくなります。
画数や響きを意識する
姓名判断で画数の良い名前を選んだり、口に出した時のリズム(響き)が良い名前を選んだりします。
「〇〇先生」と呼ばれた時のことを想像してみましょう。
検索されやすい名前(SEO対策)
Googleなどで検索した時に、他の有名人や商品名と被らないユニークな名前にすると、検索結果で上位に表示されやすくなります。
「エゴサーチ」もしやすくなります。
ペンネーム使用時の注意点
ペンネームは自由ですが、社会的な手続きにはルールがあります。
契約書や銀行口座は本名が必要
出版社との出版契約書や、印税が振り込まれる銀行口座は、法的な効力を持つため「本名」である必要があります。
ペンネームで口座を作ることは(屋号として登録しない限り)基本的にはできません。
著作権登録は実名で行うのが基本(ペンネーム登録も可)
著作権は、本名・ペンネームに関わらず、創作した時点で発生します。
文化庁への著作権登録(実名の登録)を行う場合は、本名で行うのが一般的ですが、ペンネーム(雅号)での登録も可能です。自費出版の著作権は誰のもの?契約前に知っておくべき権利の話 も参考にしてください。
既存の有名人や商標と同じ名前は避ける
有名な作家やタレントと同じ名前、あるいは商標登録されている名前を使うと、トラブルの元になります。
事前にネット検索などでしっかり調査しましょう。
あとから変更するのは難しい(読者が混乱する)
一度デビューして読者がつくと、途中で名前を変えるのはリスクがあります。
「あの人の本だ」と認識されなくなるからです。
最初の名前選びは慎重に行いましょう。
本名で出版すべきケース
ペンネームではなく、本名の方が有利な場合もあります。
ビジネス書で信頼を得たい場合
コンサルタントや経営者が、本業の集客やブランディングのために本を出すなら、本名(ビジネスネーム含む)で出すべきです。
「実在する人物」としての信頼感が重要だからです。
学術書や論文
研究成果を発表する場合も、研究者としての実績を積み上げるために本名を使います。
自分史(家族に残す場合)
家族や子孫に自分の生きた証を残すなら、やはり本名の方が想いが伝わります。
覚悟を持って世に問う場合
社会問題への提言など、自分の責任において発言する場合、本名を名乗ることでその覚悟を示すことができます。
まとめ
名前は、著者から読者への最初のメッセージです。
本名で勝負するか、ペンネームで新しい自分を演出するか。
どちらを選んでも正解です。
大切なの、その名前に誇りを持ち、愛着を持てるかどうか。
あなたという作家の「顔」となる素敵な名前を、名付けてあげてください。
