「本を書きたい」という情熱はあるけれど、何から手をつければいいかわからない。
そんな時は、まず「出版企画書」を書いてみましょう。
企画書は、家を建てる時の設計図のようなもの。
これがあれば、執筆中に迷子になることもありませんし、出版社へのアピール材料としても最強の武器になります。
プロの編集者を唸らせる、企画書の書き方を伝授します。
出版企画書の役割と重要性
企画書は単なるメモではありません。
あなたの頭の中にある「ぼんやりとしたアイデア」を、他人にも伝わる「明確なコンセプト」に変換するツールです。
自分の頭の中を整理する設計図
書きたいことがたくさんありすぎて、結局何を伝えたいのかわからなくなってしまう。
これは著者が陥りやすい罠です。
企画書を書くことで、「誰に」「何を」「どうやって」伝えるのかが整理され、本の背骨が一本通ります。
編集者や出版社に魅力を伝えるプレゼン資料
出版社に持ち込みをする際、編集者はまず企画書を見ます。
多忙な彼らは、膨大な原稿を最初から最後まで読んでくれるとは限りません。
A4用紙1〜2枚の企画書で「面白そう!」「会ってみたい!」と思わせることができなければ、その先には進めないのです。出版社への持ち込みで夢を叶える!採用されるための手順とマナー に持ち込みのコツをまとめています。
最後までブレずに書き切るための指針
執筆は孤独で長い作業です。
途中で「本当にこれでいいのかな?」と不安になった時、立ち返る場所になるのが企画書です。
初志貫徹するための羅針盤として、企画書は大きな役割を果たします。
企画書に盛り込むべき項目
では、具体的に何を書けばいいのでしょうか。
必須となる項目は以下の5つです。
タイトル案(仮タイトルでもOK)
タイトルは本の顔です。
「〇〇について」といった説明的なものではなく、読者が思わず手に取りたくなるようなキャッチーなタイトルを考えましょう。
サブタイトルも合わせて考えると、より内容が伝わりやすくなります。
企画の趣旨・背景(なぜこの本を出すのか)
なぜ今、この本が必要なのか。
著者がこの本を書く必然性は何か。
社会的な背景や、著者自身の体験を交えて、企画の「核」となる部分を熱く語ってください。
ターゲット読者(誰に読んでほしいか)
「すべての人」は「誰でもない」のと同じです。
「30代の管理職になりたての女性」「定年退職後の趣味を探している男性」など、具体的な読者像(ペルソナ)を設定しましょう。
著者プロフィール(実績・強み)
あなたがそのテーマについて語る資格があることを証明します。
経歴や資格だけでなく、SNSのフォロワー数や講演実績など、「売れる」要素があれば積極的にアピールしましょう。
目次構成案(章立て)
本の骨組みとなる目次案です。
章ごとのタイトルと、そこで何を書くかを箇条書きにします。
これがあるだけで、本全体の流れがイメージしやすくなります。
魅力的な企画書の書き方
項目を埋めるだけでは不十分です。
「採用される」企画書にするためのテクニックをご紹介します。
「類書」との差別化ポイントを明確にする
書店に行けば、似たようなテーマの本は既にたくさんあるはずです。
それらと何が違うのか、どこが新しいのか。
「既存の本には〇〇が書かれていないが、本書では△△について解説する」といった差別化ポイントを明確にしましょう。
読者が得られるメリット(ベネフィット)を書く
読者は、本を読むことで何かを得たいと思っています。
「この本を読めば、悩みが解決する」「新しいスキルが身につく」「元気になる」。
読者にとってのメリット(ベネフィット)を提示することが重要です。
具体的な販売促進策(販路・宣伝)を提案する
「いい本なら売れる」という受け身の姿勢ではいけません。
「自分のメルマガ読者〇〇人に告知する」「年間〇〇回のセミナーで手売りする」など、著者自身がどうやって売っていくかのプランを書きましょう。自費出版は「手売り」が一番儲かる?直販の魅力と売るためのコツ も強みになります。
出版社にとって、著者の販売力は大きな魅力です。
熱意だけでなく客観的なデータも入れる
情熱は大切ですが、それだけではビジネスになりません。
「このテーマの市場規模は〇〇億円」「関連キーワードの検索数は月間〇〇万回」など、客観的なデータで市場性を裏付けましょう。
企画書の活用方法
完成した企画書は、様々な場面で役に立ちます。
出版社の持ち込み・応募
自費出版、商業出版問わず、出版社へのアプローチには必須です。
複数の会社に送る場合も、基本の企画書があれば、相手に合わせて少しアレンジするだけで済みます。
出版プロデューサーへの相談
出版のプロに相談する際も、企画書があれば話が早いです。
具体的なアドバイスをもらいやすくなり、企画のブラッシュアップにつながります。
クラウドファンディングのページ作成
出版費用を集めるためにクラウドファンディングをする場合、企画書の内容がそのままプロジェクトページの説明文に使えます。
支援者に想いを伝えるためのベースになります。
執筆中の迷いを消すための原点回帰
執筆に行き詰まったら、企画書を読み返しましょう。
「自分はこれを伝えたかったんだ」と思い出すことで、再び筆を進めることができます。
まとめ
企画書は、本に命を吹き込むための最初のステップです。
面倒くさがらず、時間をかけて練り上げてください。
その熱量は、必ず編集者や読者に伝わります。
最高の一冊を作るために、まずは最高の企画書から始めましょう。
