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自費出版の本を書店に置く「委託販売」とは?手数料やマナーを解説

「私の本を、お店に置かせていただけませんか?」
勇気を出して書店にお願いしに行く。
これは、多くの自費出版作家が通る道です。
大手出版社のように自動的に配本されるルートを持たない個人にとって、書店との直接取引は重要な販路の一つです。
この時、一般的に行われるのが「委託販売」という取引形態です。
「買い取り」とは何が違うのか? 手数料はいくらくらいなのか?
ここでは、書店に委託販売をお願いする際の仕組みと、知っておくべきマナーについて解説します。

目次

書店委託販売の仕組み

委託販売とは、簡単に言えば「場所借り」です。

著者が書店に本を預けて販売してもらう

著者は、書店に本を「預けます」。
この時点では、まだ売上は発生していません。
書店の棚というスペースを借りて、商品を展示してもらうイメージです。

売れた分だけ代金を受け取る(消化仕入れに近い)

読者が本を購入して初めて、売上が発生します。
後日、売れた冊数分の代金から、書店の取り分(手数料)を引いた額を受け取ります。

売れ残った本は返却される(または買い取り)

一定期間が過ぎても売れなかった本は、著者に返却されます。
書店側に在庫リスクがないため、比較的置いてもらいやすいのが特徴です。
稀に、書店が気に入って「買い取り(返品不可)」してくれるケースもありますが、基本は委託です。

委託期間と更新のルール

「とりあえず3ヶ月」など、期間を決めて契約します。
売れ行きが良ければ期間延長(更新)されますし、全く売れなければ期間満了で撤去となります。

委託販売のメリット・デメリット

メリット:初期費用を抑えて書店に置ける

流通業者を通さないため、高額な流通手数料や登録料がかかりません。自費出版の費用相場とシミュレーション!100部・500部の見積もり目安 と比較するとよくわかります。
本さえあれば、今日からでも交渉に行けます。

メリット:地域の読者とつながれる

地元の書店に置くことで、地域の人々に直接アピールできます。
「地元の作家コーナー」などに置いてもらえれば、注目度も抜群です。

デメリット:在庫管理の手間がかかる

どこの書店に何冊預けて、今何冊売れているか。
これらを全て自分で管理しなければなりません。
数店舗なら良いですが、増えてくると大変です。

デメリット:万引きや汚損のリスク

預けている間に本が汚れたり、万引きされたりした場合の責任の所在(どちらが負担するか)を、事前に決めておく必要があります。
一般的には、不可抗力の場合は著者が負担することが多いです。

委託をお願いする際のマナー

書店員さんは日々忙しく働いています。
飛び込み営業をする際は、相手への配慮が不可欠です。

事前に電話やメールでアポイントを取る

いきなりレジに押しかけるのはNGです。
必ず事前に電話をし、「自費出版の本の取り扱いについて相談したい」と伝え、担当者(店長や仕入れ担当)がいる時間を確認しましょう。

忙しい時間帯(夕方や土日)を避ける

開店直後や夕方の混雑時、土日祝日は避けましょう。
平日の午後(14時〜16時頃)が比較的落ち着いていることが多いです。

見本誌と補充注文書(スリップ)を持参する

実物を見てもらわないと判断できません。
見本誌と、簡単な内容紹介のチラシ、そして注文書(連絡先や振込先を書いたもの)を持参します。

お礼状や定期的な訪問を欠かさない

置いてもらえたら、お礼の手紙やメールを送りましょう。
また、定期的に様子を見に行き、売れていれば補充し、棚の整理をするなどの気遣いが信頼関係を育てます。

委託手数料(マージン)の相場

お金の話は最初にしっかり決めておきましょう。

一般的には定価の20%〜30%が書店の手取り

書店側の利益(マージン)は、定価の20%〜30%が相場です。
例えば1,000円の本なら、200円〜300円が書店の取り分になります。

著者の取り分は70%〜80%(ここから原価を引く)

残りの700円〜800円が著者の手元に入ります。
ここから印刷費などの原価を引いた額が、純粋な利益となります。

精算方法(月締め、期間終了後など)を確認する

「毎月末に締めて翌月払い」なのか、「委託期間終了時にまとめて精算」なのか。
振込手数料はどちらが負担するかも確認が必要です。

契約書や覚書を交わすことの重要性

口約束はトラブルの元です。
簡単なもので良いので、「預かり証」や「委託販売覚書」を作成し、お互いに署名・捺印して保管しましょう。

まとめ

書店員さんは、あなたの本を読者に届けてくれる大切なパートナーです。
「置いてやってください」と卑屈になる必要はありませんが、「置いて当たり前」という態度は論外です。
「この人の本なら売りたい」と思ってもらえるような、誠実なコミュニケーションを心がけてください。自費出版は「手売り」が一番儲かる?直販の魅力と売るためのコツ の精神にも通じます。

もし、「自分には難しいな」と感じたら、シェア型書店で本を置くのはどうでしょう?
シェア型書店も一種の委託販売ですが、交渉や自ら契約書を作る必要はありません。
全く新しい販売方法なので、本を店頭に並べたい場合は併せて検討するのも良いかもしれません。

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この記事を書いた人

初めて出版する個人著者さんに、Wordや一太郎を使ったかんたん・低コストな本づくりの手順をお伝えしています。
とくに、在庫リスクやムダな廃棄をなくし、環境にも経営にも優しいPOD出版という新しい形を広めることが今のテーマです。
返本率が過去最高と言われる出版業界の中で、「無理なく続けられる出版スタイル」を一緒に考えていきましょう。

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