自費出版をしようと思って検索してみると、あまりに多くの会社やサービスがあって、途方に暮れてしまったことはありませんか?
「どこも同じようなことを言っているけれど、何が違うの?」
「結局、自分にはどこが合っているの?」
そんな迷子になりそうなあなたのために、サービスの選び方の羅針盤をご用意しました。
それぞれの特徴を横並びにして、冷静に比較してみましょう。
自費出版サービスの比較ポイント
比較する際に注目すべき軸は、大きく4つあります。
これらを総合的に見て、自分の優先順位と照らし合わせることが大切です。
費用(初期費用・ランニングコスト)
最初にかかる「制作費」だけでなく、出版後にかかる「管理費」や「更新料」も見落とせません。
トータルでいくらかかるのか、見積もりの内訳をしっかり確認しましょう。
流通チャネル(Amazon・書店・電子書籍)
作った本をどこで売れるのか。
Amazonだけでいいのか、リアルな書店に並べたいのか、電子書籍も出したいのか。
流通の強さは、会社によって大きく異なります。
制作サポート(編集・デザイン・校正)
原稿を渡せば丸投げでやってくれるのか、自分でデータを作る必要があるのか。
プロの編集者やデザイナーがついてくれるのか、テンプレート利用なのか。
自分のスキルやかけられる手間に合わせて選びましょう。
契約条件(著作権・印税・契約期間)
著作権は著者に残るか、印税は何%か、契約期間は何年か。
特に印税率は、数%から70%まで幅があるので、収益を重視するなら要チェックです。
大手出版社系サービスの特徴
誰もが知っているような有名出版社の自費出版部門や、グループ会社です。
ブランド力と信頼性
最大の魅力は、その出版社のロゴが入ることです。
「〇〇出版から本を出した」という事実は、著者としてのステータスを大きく高めてくれます。
家族や知人に自慢できるのも、このタイプですね。
書店流通への強さ
長年の実績があるため、書店とのパイプが太く、配本力があります。
主要な書店の目立つ場所に置いてもらえる可能性が高いのは、やはり大手ならではの強みです。
ただし、自費出版をメインにしている会社は「実は配本していない」ということもあるので要注意です。

費用は高めだが品質は保証される
編集、校正、装丁など、プロ中のプロが担当するため、クオリティは商業出版と遜色ありません。
その分、費用は200万円〜と高額になる傾向があります。
安心とブランドをお金で買う、というイメージに近いかもしれません。幻冬舎ルネッサンスで自費出版!ブランド力と評判、費用対効果を徹底分析 も参考にしてください。
審査がある場合も
ブランドを守るため、原稿の審査がある場合があります。
公序良俗に反するものや、著しくクオリティの低いものは断られることもあります。
印刷会社系サービスの特徴
印刷会社が母体となって運営しているサービスです。
費用を抑えられる
自社工場を持っているため、印刷・製本コストを安く抑えられます。
中間マージンが発生しない分、出版社系よりもリーズナブルです。
数十万円〜100万円程度が相場です。
印刷・製本の品質が高い
「紙のプロ」なので、紙選びや製本技術には定評があります。
写真集や画集など、印刷の美しさにこだわりたい場合は特におすすめです。
編集サポートはオプションの場合が多い
基本的な校正やレイアウト調整はしてくれますが、企画内容に踏み込んだ編集アドバイスは手薄な場合があります。
「原稿は自分で完璧に仕上げられるから、綺麗に本にしてほしい」という人に向いています。
配布・販売は著者が行うケースも
流通機能を持っていない印刷会社の場合、出来上がった本はすべて著者の手元に届きます。
自分で手売りしたり、イベントで頒布したりするスタイルになります。
POD・電子書籍系サービスの特徴
IT企業などが運営する、新しいタイプの出版サービスです。

初期費用が非常に安い(無料も)
MyISBNやパブー(Puboo)のように、出版費用数千円〜無料で出版できるサービスが増えています。
在庫を持たないPOD(プリント・オン・デマンド)や電子書籍を活用することで、圧倒的な低コストを実現しています。
在庫リスクがない
注文が入ってから印刷・製本するため、在庫を抱える心配がありません。
「売れ残ったらどうしよう」というプレッシャーから解放されるのは大きなメリットです。自費出版の在庫リスクを回避するには?在庫を持たない賢い出版方法 で詳しく解説しています。
書店流通は限定的
基本的にはAmazonや楽天ブックスなどのネット書店での販売がメインになります。
リアル書店に並ぶことは稀ですので、「本屋さんに自分の本がある」という体験は難しいかもしれません。
しかし、書店では客注といって書店で取り寄せて購入することができます。この客注には対応しているサービスもあるので、PODのサービスサイトを確認してみてください。
手軽に始められる
Web上で原稿データをアップロードするだけで出版できるなど、手続きが簡単です。
Pubooのように、ブログ感覚で書き溜めて出版できるサービスもあります。
スピード感を持って出したい人に最適です。
目的別のおすすめ比較
結局、どこを選べばいいのでしょうか。
目的別に整理してみましょう。
「書店に並べたい」なら大手・中堅出版社
予算が潤沢にあり、社会的信用やブランディングを重視するなら、迷わず出版社系です。
プロのサポートを受けて、最高の一冊を作り上げましょう。
数百万円の費用がかかりますが、書店に並べるためには必要な金額です。
「費用を抑えたい」ならPOD(プリント・オン・デマンド)・電子書籍
予算が限られている、まずはテストマーケティングとして出したい、という場合はPODや電子書籍がベストです。
リスクを最小限に抑えて、著者デビューを果たせます。プリント・オン・デマンド出版(POD出版)とは?在庫リスクなしで紙の本を出す仕組みとサービス比較 なども参考にしてください。
MyISBN,PubooなどはWEB上でデータを登録するだけで紙や電子書籍として出版されるので、手軽です。
打ち合わせや編集会議がないため、費用を抑えて出版サービスを提供しています。
「身内に配りたい」なら印刷会社
販売よりも、記念品として綺麗な本を作りたいなら、印刷会社系が良いでしょう。
少部数からでも、こだわりの装丁で形にしてくれます。
まとめ
どのサービスにも一長一短があります。
「100点満点の完璧なサービス」というのは存在しません。
大切なのは、あなたが何を一番大切にしたいかです。
費用なのか、品質なのか、流通なのか。
優先順位をはっきりさせて、複数のサービスを比較検討してみてください。
資料請求をしたり、見積もりを取ったりして、納得のいくパートナーを見つけてくださいね。
