「本を出すなら、10万字は書かないといけない」
「原稿を書いているけど、これって何ページくらいになるんだろう?」
執筆を始めると、必ずぶつかるのが「分量」の壁です。
文字数が多すぎると、ページ数が増えて本が分厚くなり、結果として印刷費用が高くなってしまうことがあります。
逆に少なすぎると、背表紙の幅が確保できず、書店で目立たない「薄い本」になってしまうかもしれません。
大切なのは「文字の量」と「本の厚み(ページ数)」のバランスです。
ここでは、ジャンルごとの適切な文字数・ページ数の目安と、コストや読みやすさを考慮した調整テクニックをお伝えします。
1冊の本に必要な文字数とページ数の目安
目指すべきゴールを知ることで、執筆のペース配分がしやすくなります。
一般的な四六判(単行本サイズ)を想定した目安です。
ビジネス書・実用書:8万〜10万文字(約200ページ)
読者が体系的な知識を得るために必要な分量として、最も標準的です。
1章あたり1.5万〜2万文字 × 5章構成、といったイメージです。
新書:10万〜12万文字(約180〜220ページ)
新書はコンパクトですが、1ページに文字がぎっしり詰まっているため、意外と文字数は多いです。
内容は専門的で深いものが好まれます。
小説・エッセイ:4万〜15万文字(幅が広い)
長編小説なら文庫本で15万文字を超えることも珍しくありません。
一方、エッセイや自分史は、4万〜8万文字程度でも、写真や余白を活かしたレイアウトにすることで、十分に読み応えのある本になります。
文字数・ページ数と費用の関係
自費出版において、ページ数はコストに直結します。
文字数が多い = ページ数が増える = 印刷・製本費が高くなる
自費出版の費用相場とシミュレーション!100部・500部の見積もり目安 も参考にしてください。
「書きたいことがたくさんあるから」といって300ページ、400ページと増やしていくと、1冊あたりの単価が跳ね上がり、定価も高くせざるを得なくなります。
予算内で収めるためには、適切な文字数にコントロールすることが重要です。
読みやすさを左右するレイアウト調整
同じ文字数でも、レイアウト(見せ方)次第でページ数は変わります。
基本は「1ページ 600文字」前後
一般的な書籍では、1行40文字 × 15〜18行程度が読みやすいとされています。
これを基準に、全体のページ数を逆算します。
ページ数が足りない時は「ゆったり」させる
文字数が少ない場合は、フォントサイズを少し大きくしたり、行間や余白(マージン)を広げたりします。
これは「読みやすさ」を向上させるのでOKです。
詩集や写真集のように、余白をたっぷりとることで高級感を出すこともできます。自費出版の装丁(デザイン)完全ガイド!読者を惹きつける「本の顔」の作り方 もあわせてご覧ください。
ページ数を減らすための「詰め込み」はNG
逆に、ページ数を減らしてコストを下げようとして、文字を小さくしたり行間を詰めたりするのは絶対にやめましょう。
ギチギチに詰まった本は非常に読みにくく、読者が途中で挫折してしまう原因になります。
削るべきは「行間」ではなく「重複している文章」です。
背幅(本の厚み)を確認しよう
本の背表紙(背幅)は、本棚に並んだ時の存在感を左右します。
背幅 = ページ数 × 紙の厚さ
ページ数が少なくても、厚手の紙を使えば背幅は出せます。
逆にページ数が多くても、薄い紙を使えばコンパクトになります。
本文がある程度完成したら、利用する出版サービスのシミュレーターなどで「何ページで何センチくらいの厚みになるか」を必ず確認しましょう。
背文字を入れるには、最低でも3mm〜5mm程度の厚みが必要です。
文字数が合わない時の調整テクニック
足りない時のボリュームアップ術
- 具体例を追加する:「例えば〜」というエピソードを加筆します。
- 図解やイラストを入れる:視覚的な情報でページを使い、メリハリをつけます。
- コラムや対談を挟む:本筋とは違う「箸休め」的なコンテンツを追加します。
多すぎる時のダイエット術
- 重複を削る:同じことを何度も言っていないかチェックします。
- 章ごとカットする:テーマに直結しない章は、次回の本のために取っておきます。
- 分冊する:どうしても削れない場合は、上下巻にするのも一つの手です。
まとめ
文字数やページ数は、あくまで「器」のサイズです。
無理に埋めようとしたり、溢れるほど詰め込んだりせず、読者が最後まで心地よく読み切れる「腹八分目」を目指しましょう。
適切なボリューム感は、読後の満足感にもつながります。
