「本を出してみたいけれど、何百万円もかかると聞いて諦めた」
そんな経験があるなら、少しだけ待ってください。「自費出版=高い」というのは、もう過去の話です。
スキルマーケットの「ココナラ」と、在庫を持たない「POD(プリント・オン・デマンド)」という技術を組み合わせれば、個人でも驚くほど低予算で、プロ顔負けの本を作ることができるのです。あなたが「編集長」となって、理想の一冊を世に送り出す。そんな新しい出版の形をご紹介します。
なぜ「ココナラ × POD(MyISBN・Puboo)」の組み合わせが最強なのか
従来の自費出版は、印刷費や在庫管理費、そして出版社の利益が乗るため、どうしても高額になりがちでした。しかし、インターネットとデジタル印刷技術の進化が、その常識を覆しています。ここでは、なぜこの「DIY方式」が最強なのか、その理由を解説します。
従来のコスト構造とPODの革命
一般的な自費出版では、最初に数百部から数千部を印刷するため、紙代やインク代、そして売れるまでの保管料といった「在庫リスク」がつきまといます。これが費用の大半を占めていました。
一方、POD(プリント・オン・デマンド)は、Amazonなどで注文が入ってから一冊ずつ印刷・製本して発送する仕組みです。つまり、在庫を持つ必要がありません。この仕組みを提供する MyISBN などのサービスを使えば、初期費用を劇的に抑えつつ、Amazonや楽天ブックスという巨大なマーケットで本を販売できるのです。

ココナラで「編集部」を自前で作る
これまでの自費出版サービスが高額だったもう一つの理由は、編集・校正・デザインといった「プロの作業」を出版社が丸抱えしていたからです。
しかし今は、ココナラなどのスキルマーケットを使えば、プロの編集者やデザイナーに直接依頼ができます。「校正だけプロに頼みたい」「表紙だけはこだわりたい」といった具合に、必要な部分だけをアラカルトで発注できる。これが、コストを抑えつつクオリティを高める秘訣です。自費出版の校正・校閲ガイド!「神は細部に宿る」本作り も参考にしてください。
出版までの5ステップ:完全ロードマップ
「全部自分でやるのは大変そう……」と不安に思うかもしれませんが、工程を分解すれば一つひとつはシンプルです。企画から出版まで、具体的なステップを見ていきましょう。
【STEP 1】 企画・原稿執筆
まずは、どんな本にしたいかという「企画」と、その中身である「原稿」が必要です。ここはあなたが一番情熱を注ぐべき部分です。もし文章を書くのが苦手なら、ライターに執筆代行を依頼するのも一つの手ですが、まずは自分の言葉で書き始めてみることをおすすめします。
また、この際にMyISBNやパブーのアカウントを作っておきましょう。出版までの流れはサービスによって異なりますが、アカウント登録すると出版までの流れをメールで教えてくれます。
【STEP 2】 編集・校正(ココナラ活用)
原稿が書けたら、第三者の目を通します。自分では完璧だと思っていても、誤字脱字や論理の飛躍は必ずあるものです。
ココナラでプロに依頼する場合、「誤字脱字のチェック」だけでいいのか、文章の構成から直してもらう「リライト」まで頼むのかを決めましょう。初めての場合は、丁寧な感想やアドバイスをくれる出品者を選ぶと、作品の質がぐっと上がります。
【STEP 3】 組版・DTPデザイン(ココナラ活用)
Wordで書いた原稿をそのまま本にすると、どうしても「素人感」が出てしまいます。読みやすい本にするためには、行間や余白、フォントなどを整える「組版(くみはん)」という作業が欠かせません。
InDesignなどの専門ソフトを使えるプロに依頼すれば、縦書きの小説も、図版の多い実用書も、書店に並ぶ本と同じような美しい仕上がりになります。なお、手軽に電子書籍と紙の本を同時出版できる パブー(Puboo) を使う場合は、システムが自動でレイアウトしてくれるため、この工程をスキップすることができます。
【STEP 4】 表紙デザイン(ココナラ活用)
「本は表紙が9割」と言われるほど、表紙は重要です。
Amazonの検索結果でクリックされるかどうかは、表紙のインパクトで決まります。
こここそ、プロのデザイナーの腕の見せ所です。タイトルと著者名だけでなく、帯のキャッチコピーや、紙の本ならではの「背表紙・裏表紙」のデザインも忘れずに依頼しましょう。自費出版の装丁(デザイン)完全ガイド!読者を惹きつける「本の顔」の作り方 もあわせてご覧ください。
MyISBNやPubooは、本文を入稿していれば、表紙のサイズなども表示されます。
そのため、ココナラで表紙デザインを依頼する前に、MyISBNやPubooで本文を入稿しておきましょう。
【STEP 5】 入稿・出版申請
原稿と表紙のデータが揃ったら、いよいよ出版申請です。MyISBNやPubooなどのサービスに価格や著者情報を入力し画面の指示に従って出版申請を行います。
各サービスには細かい「入稿規定」があります(画像の解像度や、余白のサイズなど)。デザイナーに依頼する段階で、利用するサービスの規定を伝えておくと、この段階でのトラブルを防げます。審査に通れば、晴れてAmazonと楽天ブックスでの販売が開始されます。
リアルな費用シミュレーション
では、実際にどれくらいの費用がかかるのでしょうか。従来の自費出版と比較しながら、リアルな数字を見てみましょう。
従来の自費出版との比較
出版社に依頼する従来の自費出版(流通あり)の場合、100万円〜300万円ほどかかるのが一般的でした。これは、編集・デザイン費に加え、印刷・製本費、流通管理費などが含まれるためです。自費出版の費用相場とシミュレーション!100部・500部の見積もり目安 と比較してみてください。
ココナラ × PODの実費シミュレーション
一方、今回のDIY方式なら、トータルで5万円〜15万円程度に収めることも十分に可能です。
- 編集・校正費:1〜5万円(文字数や依頼内容による)
- 表紙デザイン費:1〜3万円
- 組版・DTP費:2〜5万円
- サービス利用料:MyISBNなら4,980円(税別)、Pubooなら5,000円(税別)
もちろん、どこまでこだわるかで費用は変わりますが、従来の方法と比べて桁が一つ違うことは間違いありません。
「まずは5万円で小さく試す」といったスモールスタートができるのが最大の魅力です。
この手法のメリット・デメリット
自由度が高くコストも安いDIY出版ですが、もちろん良いことばかりではありません。メリットとデメリットをしっかり理解した上で、チャレンジしましょう。
メリット:自由と利益
最大のメリットは、やはり圧倒的なコスト削減です。浮いた予算を広告費に回すこともできます。また、Amazonでの販売利益(印税)も、商業出版(通常10%以下)と同等か、サービスによってはそれ以上の設定が可能です。何より、誰かの意向に左右されず、自分の書きたいことをそのまま本にできる「自由」は、何物にも代えがたい喜びです。
デメリット:すべては自己責任
一方で、進行管理(ディレクション)はすべて自分で行う必要があります。クリエイターとのやり取りやスケジュールの調整など、編集者としての動きが求められます。
また、PODは「注文を受けてから作る」仕組み上、紙の種類や装丁の加工(箔押しなど)は選べないことがほとんどです。リアル書店の店頭に並べることもハードルが高いため、「書店で自分の本を見かけたい」という夢がある場合は、百万円から場合によっては一千万円以上かかることもありますが、従来の方法を検討する必要があるかもしれません。
失敗しないための「クリエイター選び」のコツ
DIY出版の成功は、良いパートナー(クリエイター)に出会えるかどうかにかかっています。ココナラで信頼できるプロを見つけるためのポイントをお伝えします。
検索とポートフォリオの確認
検索する際は、「InDesign」「商業出版経験あり」といったキーワードを含めると、実力のあるクリエイターが見つかりやすくなります。
そして必ず「ポートフォリオ(過去の作品集)」を確認しましょう。自分の作りたい本のイメージに近い実績があるかどうかが重要です。評価の数だけでなく、コメントの内容もしっかり読んで、やり取りの丁寧さや対応の早さをチェックしてください。
スムーズな依頼のために
依頼する際は、曖昧な指示を避けることがトラブル防止の鍵です。「かっこいい表紙にしてください」ではなく、「30代のビジネスマンに向けた、信頼感のある青色を基調としたデザイン。参考イメージはこの本の表紙です」というように、具体的かつ明確な「指示書」を用意しましょう。
まとめ
「著者」でありながら「編集長」にもなる。それが、このDIY出版の醍醐味です。
最初は少し大変に感じるかもしれませんが、自分の頭の中にあったアイデアが、多くの人の手を借りて一冊の本という「形」になっていく過程は、本当にワクワクする体験です。
一度覚えてしまえば安価に何冊でも本を出版することができます。
まずは小さく、一歩を踏み出してみませんか? あなたの物語が、世界のどこかで待っている誰かに届くことを応援しています。
